モノ作りの最後のひとさじとは?
更新日:7 日前

「かんぶつマエストロ認定講座」で20年ほど講師を務めるタカコナカムラ。 主任講師であり「かんぶつ伝承人」でもある星名桂治先生との対話から、日本の乾物が置かれている現状と、生産現場に迫る時代の波について考えます。
AIやロボットが料理や農業の現場に進出する今だからこそ問われる、データや数値には置き換えられない「人の手が込める魂=最後のひとさじ」の重要性をお届けします。
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乾物は減っていない!?
惣菜化する食卓と消えゆく生産者
私は「かんぶつマエストロ認定講座」(日本かんぶつ協会)で、20年ほど講師を務めています。
今月のホールフード協会会員向け動画配信「まるごとノオト。」に登場されたのは、主任講師の星名桂治先生。別名「かんぶつ伝承人」です。
乾物を知り尽くし、ご自身が経営する商社でも、長年、全国各地や海外の乾物を扱ってこられました。
以前、星名先生の案内で、夜明け前の富津へ海苔の収穫を見に行ったことがあります。
乾物についてわからないことがあると、今でも先生に質問しています。
この9月、久しぶりに、かんぶつマエストロ認定講座の上級で星名先生と一緒に講義を担当しました。
乾物は一年中手に入り、日持ちがして、軽い。
買い物にも配送にも便利で、非常食としても頼もしい和の食材です。
ところが、近所のスーパーでは乾物の売り場が少しずつ小さくなっているように感じます。
「売れないから、取り扱わなくなったのだろう」。
そんな話から、星名先生に消費量を尋ねてみました。
すると先生から返ってきたのは、「乾物の消費は減っていない」という意外な答え。
スーパーの惣菜やお弁当には、乾物がよく使われているのだそうです。
なるほど、食べてはいるんだ。
乾物は、自分で料理するものから、誰かが料理したものを買って食べるものになったんだーー
さらに気になるのは、国産の乾物の生産者のこと。
各地の生産地を訪ねている星名先生は、乾物を使う人が減ること以上に、少子高齢化によってつくる人が減っていることを問題だと話されます。
乾物に限らず、農業や小規模な食品づくりの現場では、夜明け前から仕事が始まります。
収穫し、選び、梱包して出荷する。気づけば夕方で、仕事が終われば翌日の準備。
重労働です。
この仕事を次に担う人がいなければ、食材も、その土地で受け継がれてきた技術も、消えてしまいます。
ロボットが働く田んぼへの違和感。
工程だけでは語れない「魂」
そんなことを考ええていると、ロボットやAIがものづくりを担う未来が頭に浮かびます。
人手不足を助ける技術になるのでしょう。
でも、小さな生産者が導入できるのか。
アンド、何を機械に任せ、何を人の手に残したいのか。
田んぼや畑でロボットが働く風景を想像すると、私はぞっとしてしまうのです。
もちろん、機械にも農作業の手順を教えることはできるでしょう。
でも、稲をはざに掛けて乾かすのはなぜか。
そのやり方を守り続けてきた人は、何を大切にしてきたのか。
そこまで、ロボットに引き継げるのだろうか。
ものづくりには、工程や技術だけでは語れないものがあります。
「なぜ、これをつくり続けるのか」という思いや、作り手が歩んできた人生。
最後のひとさじには、言葉にも数字にも置き換えられない「魂」が入っている。
私はそう思います。
AIには負けない!
その場の空気と人と向き合うホールフード基礎コース
料理の世界にもAIが入ってきました。
レシピを考え、組み合わせを提案する。
私も、その便利さを感じることはあります。
そんな中、先週末、ホールフードの基礎コースが始まりました。
キッチンでは、受講生の表情や手元を見ながら料理を教えます。
講義も毎回同じ話をするわけではありません。
その場で出た質問から話を広げたり、今の暮らしに引き寄せて話題を変えたり。
「あ、今、この話なら届きそう」と感じたら、予定を差し替えることもあります。
同じ講座は、二度とできないのです。
そうか。
私がずっとやってきたのは、レシピや知識を渡すだけではなかったんだ。
目の前の人と一緒に考え、その人の台所につながる道を探し、それを伝えることだったんだ、と改めて思いました。
私がキッチンに立ち、料理をつくり、講義ができる間は、まだまだAIやロボットには負けないぞ!
新たなライバルの登場に、再び燃えているタカコナカムラでした。
※本記事は「note」より要約抜粋しています。
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✏️ 編集部より 〜 Whole Food Life からのご案内 〜
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数値やレシピだけでは表現できない、作り手の想いや「最後のひとさじの魂」。
あなたの台所から、人の温もりと自然の恵みを丸ごと慈しむ暮らしを深めてみませんか?
タカコナカムラWhole Food スクール
「基礎」「応用」の先に待つ、ホールフードを深める道。
基礎コース・応用コースで食と暮らしの土台を磨いたその先に、和食の巨匠・野崎洋光氏をはじめとする豪華講師陣から直接学ぶ「ホールフードマスターコース」が開かれます。
単なる調理技術にとどまらず、伝統食材や乾物の背景、環境への責任まで。
タカコナカムラが長年探求してきた「食と暮らしをまるごと考える技術と哲学」の集大成を本格的に深めていけます。
Online Shop「Whole Food Life」/スクール購買部(かいものスペース)
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手間ひまかけて作られた選りすぐりの国産乾物や発酵調味料、使い込むほど手に馴染む上質な手仕事の調理道具たち。人の手の温もりと物語が詰まった厳選アイテムをお届けします。
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「人の手」が紡ぎ出す滋味深さと優しさを味わう。
太陽と風の恵みをたっぷり受けた乾物の出汁や、作り手の温もりが感じられる季節の養生料理。
数値では測れない「本物の美味しさと魂」を、ぜひ食堂のあたたかな空間で体感してください。

