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タカコナカムラ時々ブログ


「私にできることを、もう一度」――LA集中講座を経て、いま伝えたいこと。
3月10日、ロサンゼルスで開催した初めての「Whole Food集中講座」。 料理実習と講義を詰め込んだ濃密な1日。20年のキャリアを懸けて、私なりに全力を出し切ったはずでした。 けれど、終わった後に残ったのは「もっと伝えられたはず」「もっと深く、受講生の暮らしを支えられたはず」という、言葉にならないモヤモヤとした思いでした。 スクール設立から20年。この節目に、私たちはこれまでの歩みを土台とし、より本質的で、より実践的な「Whole Food Foundation Course(基礎コース)」として、新たな一歩を踏み出しました。その第一歩となるLAの皆さんに、知識ではなく「一生ものの習慣」を届けるために。私は帰国後、異例の「オンライン補講」を提案しました。 ============================================== 「削って、削って、最後に残ったもの」 帰国からの2週間。たった1時間の補講のために、私はLAのスーパーやカフェで体感した最新のトレンドと、自分の知識を照らし合わせ、テキストを徹底的に見直し続けました
3月27日


「時代がようやく追いついた」―私が40年間、ベジブロスを伝え続ける理由
ロサンゼルスの高級オーガニックショップを覗けば、そこには今「ブロス(出汁)」のコーナーが当たり前のように存在しています。その光景を見るたびに私は思うのです。「ああ、やっと時代が私に追いついてきたな」と。 私が野菜の切れ端から取る出汁「ベジブロス」を提案し始めてから、まもなく40年。 今日は、なぜ私がこの「魔法の液体」にこだわり、そして一度は世間から敬遠される道を選んだのか。その真実のヒストリーをお話しします。 ============================================== すべては一冊の本、そしてアメリカへの逃避行から始まった 1980年代、まだ「ビタミン」という言葉すら一般的でなかった頃。私は丸元淑生さんの著作に出会い、衝撃を受けました。「これだ!」という直感に突き動かされ、お金もコネもないまま、バックパッカーとしてアメリカへ飛び出しました。 当時学んでいたマクロビオティックの限界を感じていた私が出会ったのは、食と暮らしと環境をまるごと考える『Whole Food Life』という思想。 帰国後、表参道の「ブラウン
3月11日


日本の「当たり前」は、世界の宝。LA・EXPO2026で見えた食の未来
毎年恒例、世界最大級のナチュラル食品展示会「Natural Products Expo West」視察のため、ロサンゼルスにいるタカコナカムラ。会場を歩いて確信したのは、世界が今、猛烈に「日本」を見つめているということ。 私たちが当たり前だと思っていた「発酵」や「きのこ」が、海を越え、驚くほど自由で楽しい進化を遂げていました。現地から届ける、最新の食トレンドルポです。 展示会情報はこちら▶︎ ============================================== ① 発酵=プロバイオティクスという分かりやすさ 会場を歩いてまず目につくのが「Probiotics(プロバイオティクス)」という言葉。飲料はもちろん、スナック菓子にまで「乳酸菌配合」の文字が並びます。 アメリカでは、乳酸菌=プロバイオティクス=健康という、非常にシンプルで分かりやすい構図が作られているようです。 ② 麹(Koji)は“発酵の王様”へ 中でも圧倒的な存在感を放っていたのが麹(Koji)。 ここ数年ですでに注目されていましたが、今年はさらに進化し、麹ドリ
3月8日


「弁当の日」が教えてくれた、人が人になる時間。
人が「人間になる」時間が、いま、静かに失われているのかもしれません。 なぜ、たった一度のお弁当作りが、子どもの一生を変えてしまうのか。 「料理家を増やしたい」と願うタカコナカムラが、尊敬してやまない竹下和男先生から教わった「魂の教育」についてお話しします。 ============================================== 「勉強だけしていればいい」が奪う、共感する力 特に東京などの首都圏では、 「塾や習い事で忙しいから、料理なんてしなくていい」 「包丁で手を切ったら危ない」 と、大人が先回りをして子どもの役割を奪ってしまう光景をよく目にします。 しかし、近年の脳科学では、8歳から19歳頃にかけて育つ「前頭前野(人間脳)」の発達に、生活習慣が大きく関わっていることが指摘されています。 「全部やってあげるから、あなたは自分のことだけしていればいい」 そう言われて育った子どもは、他人への共感力が育ちにくく、 大人になっても「やってもらって当たり前」という感覚から抜け出せなくなるリスクを孕んでいます。 今、社会問題となっている
2月25日


Whole Food Lifeはここからが本番。応用コース修了生に贈るこれからの歩き方
濃密な時間を共に過ごした「応用コース」が修了しました。今、心地よい達成感とともに、どこか心にぽっかりと穴が空いたような、不思議な感覚の中にいる方も多いのではないでしょうか。夢中で吸収した日々を経て、皆さんの「ものの見方」や「選び方」は、受講前とは確実に見違えるものになっています。 修了という一つの区切りを迎えたいま、タカコナカムラが皆さんに一番伝えたい「これからのこと」を綴ります。 ============================================== 「知ったうえで、選ぶ力」があなたを守る 応用コースは、単に料理のレパートリーを増やす場所ではありません。 私たちが共に学んできたのは、「暮らしの安全」という確かな視点です。 「食」を整えることはもちろん大切。でも、それだけでは体調が変わりきらないこともあります。 そこで初めて、私たちは「暮らし全体の環境」——日用品、空気、香り、住まい——に目を向けることの重要性に気づきます。 世の中からすべての化学物質を排除することは不可能です。だからこそ大切なのは、「知ったうえで、選ぶ力」
2月19日


台所に戻ってくる人たちへ。「一生もんの知恵」が芽吹く瞬間に立ち会って。
「料理は、感覚だけでは続かない」 だからこそ、私たちの『応用コース』では、各界の第一人者をお招きして、食・農業・環境・暮らしを「システム」として深く理解する時間を設けています。 単にレシピを増やすのではなく、自分の頭で納得し、自分の手で再現できること。 強制されるのではなく、ストンと腑に落ちたとき、人はもう台所から離れなくなります。 ========================================= 「すべてはつながっている」という確信 遺伝子組み換え、経皮毒、オーガニックガーデン、そしてナチュラルクリーニング。 一見、料理教室の枠を越えているように見えるこの講師陣は、実は全員が同じゴールを見つめています。 食だけ、農業だけ、暮らしだけを切り取っても、未来は拓けません。 ベテランの講師の方々が、今なお学びを止めず、常に最新の情報を携えて教壇に立ってくださる姿。その真摯な背中から、生徒さんたちは技術以上の「生きる姿勢」を受け取ってくれています。 道具が、人を台所へ連れ戻す 先日、ある生徒さんが「念願の包丁を手に入れて、あまりの切れ味
2月15日


小豆島便り。人はなぜ、木桶サミットに集まるのか?
今年も、全国から400人を超える人々が小豆島に集まりました。 そこにあるのは「伝統を守らなければ」という悲壮感ではありません。 木桶を作る人、使う人、そして何者でもない若者たち。 彼らが惹きつけられるのは、制度でも補助金でもなく、ただ「カッコイイ」という背中があるから。 木桶という装置が、いかにして未来を自然発生させているのか――。 タカコナカムラが現地で感じた「希望」の記録です。 ========================================= 徒弟制度は壊れた。けれど「背中」は残っている 今、日本の醸造用木桶職人は絶滅の危機を乗り越え、驚くほど多くの若者たちが自ら手を挙げ、集まっています。 修業も、説教も、命令もない。ただ、同じ釜の中に同世代を放り込むと、そこには強烈な化学反応が起きます。 誰に言われたわけでもない。認定があるわけでもない。 ただ「カッコイイ」から。 『ヤマロク醤油』の山本康夫さんをはじめとする、三人の男たちの情熱から始まったこの動きは、制度ではなく「人」が未来を呼ぶのだということを証明しています。 料理は、
2月7日


現役92歳の眼差し。小泉和子先生の宿題に学ぶ「これからの暮らし」
大田区久ヶ原にある「昭和のくらし博物館」。 そこには、時代を懐かしむためではなく、未来を生き抜くための『知恵』が静かに息づいています。 先日、館長の小泉和子先生に取材でお話を伺いました。 92歳にして現役、菊池寛賞を受賞されたばかりの先生から手渡されたのは、便利さと引き換えに私たちが忘れてしまった「暮らしの矜持」という宿題でした。 ========================================= 懐古ではない、未来のための「知恵」を残す場所 小泉先生のご自宅をそのまま公開しているこの博物館は、再現された空間ではなく、実際に営まれてきた「生きた暮らし」の記録です。 先生は仰います。「昭和を懐かしむために残しているのではない」と。 そこにあるのは、気候変動や環境破壊が深刻化する現代において、私たちがもう一度立ち止まって考えるべきヒントです。 すべてがプラスチックに包まれたスーパーの食品。 限界を迎えつつある大量消費の暮らし。 「少し工夫しよう、という気持ちが大切なの」 先生の厳しい、けれど温かい眼差しは、一人ひとりの暮らしの変容が社
1月31日


私の知的財産。土と背中に教わった「本物の食」の記憶
「どうしても読みたい」というお声をいただき、久しぶりに絶版となった自著をめくりました。 ページに並ぶのは、1990年代から私が通い詰め、対話を重ねてきた生産者の方々の姿。 スマホもYouTubeもなかったあの頃、私たちは「行く」しかありませんでした。 今、改めて振り返る、データやノウハウでは決して代替できない私の中に眠る『知的財産』のお話です。 ========================================= 土に触れ、背中を見て。会いに行くしかなかった時代の学び 本の中で再会した生産者の半分以上の方は、すでにこの世を去られています。 もぎ豆腐の茂木会長、松田マヨネーズの松田さん、丈夫卵の高橋さん……。 あの頃の私は、畑に立ち、土に触れ、作り方の向こう側にある「人となり」を全身で受け止めるのが当たり前でした。 スマホの画面越しでは決して伝わらない、空気感、沈黙、そして言葉にならない感動。 「その製品を本当に知りたいなら、生産現場へ行け」 山口県から出てきたばかりの何も知らなかった私は、先輩から授かったこの言葉を胸に、生産者の皆さ
1月23日
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