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ビーカーを鍬に持ち替えた研究者たち 「みさと梅クラブ」

  • 6月21日
  • 読了時間: 6分

更新日:6 日前


「梅は三毒を絶つ(食毒・水毒・血毒)」と言われ、古くから日本の暮らしを支えてきた梅エキス。 今年も10kgの青梅から、まるで修行のような手仕事で梅エキスを仕込んだタカコナカムラですが、今年は「例年にない酸っぱさ」という事件が勃発! その謎と不安を抱え、タカコが向かったのは群馬県高崎市美里町。元製薬会社の研究者たちが会社を辞め、ビーカーを鍬に持ち替えて自然栽培の梅作りに挑む『みさと梅クラブ』での、深い感動と驚きの発見をお届けします。


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毎年恒例、ほとんど「修行」の梅エキス仕込み


「梅は三毒を絶つ。」

昔からそう言われてきました。


三毒とは「食毒・水毒・血毒」。このうち血毒とは、汚れた血や血流の滞りを意味し、古くから梅は血の健康を保つ食べ物として親しまれてきました。


近年では、梅に含まれるクエン酸がエネルギー代謝を助け、疲労回復に役立つことや、梅エキスを煮詰める過程で生まれる「ムメフラール」、ポリフェノールの一種「梅リグナン」など、さまざまな成分について研究が進んでいます。まさに、梅エキス恐るべし、です。


そんな梅エキスを、私は今年も10kgの青梅から仕込みました。

タカコスタイルの仕込みは、なかなかの重労働です。


青梅を50℃洗いする

→青梅を割る

→低速ジューサーにかける

→果汁を搾る

→サラダマスター鍋でひたすら煮詰めること3時間余


毎年のことですが、ほとんど修行です(笑)。


でも、煮詰めている最中は『無』になれますよ。

この作業をしないと夏を迎えた気がしないのだから、不思議なものです。



今年の梅エキスは失敗? AIの答えと消えない不安


ところが今年は事件が起きました。出来上がった梅エキスが、例年になく酸っぱいのです。


「失敗したかな?」


原因を調べても分からず、AIにも聞いてみました。


返ってきた答えは、

「梅エキスもヴィンテージワインと同じ。その年の梅の出来によって味は変わります。秋頃まで寝かせることで酸味もまろやかになるでしょう。」


なるほど、と納得したものの、不安は消えません。

今年は気温の影響で梅の生育が例年より早く進み、7月に予定していた梅干し講座では、受講生への青梅のお土産も用意できなくなってしまいました。自然相手だからこその出来事です。



美里町の梅園で、気がつけば20kgの収穫!


そんな中、私が向かったのは、群馬県高崎市美里町。

私が以前から愛用している、梅エキスを使った鼻用の医薬部外品「ミサトールローション」を製造するアダバイオ株式会社と、原料となる梅を栽培するNPO法人みさと梅クラブを訪ねました。

今回で2度目の訪問です。


梅園へ入ると、たわわに実った梅が迎えてくれました。

すでに自宅では10kg以上の梅干しを漬け終えているというのに、梅を見ると収穫せずにはいられません(油断大敵!)。気が付けば、また20kgも収穫していました。


一般的に人気なのは「白加賀」。でも、私のお気に入りは「梅郷(ばいごう)」です。

皮が薄く傷みやすいため市場にはあまり出回りませんが、梅干しにすると本当に美味しい。

一方、「鶯宿(おうしゅく)」は熟しても比較的硬さが残るので、梅シロップ向きだそうです。

品種ごとに向き不向きが違うのも、梅の面白さですね。


それでも、まだ木にはたくさんの梅が残っています。

「収穫する人が足りなくてね。」

近くなら毎日でも収穫に来たい。そう思いながら梅園を後にしました。

実際、この地域には後継者不足や高齢化によって放置される梅園も少なくありません。

切り倒された梅の木も、あちこちで目にしました。



ビーカーを鍬に持ち替えた、二人の研究者


その梅園を借り受け、農薬や化学肥料を使わずに梅を育てているのが、NPO法人みさと梅クラブの大澤さん。そして案内してくださったのが、アダバイオの真由美さんです。


実は、お二人とも元は製薬会社の開発ラボで研究をしていた方々。

梅エキスの可能性に魅せられ、会社を辞め、美里町で研究を始めました。


「どうせなら原料の梅も自分たちで育てよう。」


そうして11年前、ビーカーを鍬に持ち替えたのです。


きっかけは、あの『奇跡のりんご』で知られる木村秋則さんの自然栽培との出会いでした。

収穫時にチャドクガを避けるため、防除を行う梅園も少なくないそうですが、大澤さんは「自然の力で育てる梅」に挑戦し続けています。


その中で生まれた独自の仮説も、元研究者ならではで、とても興味深いものでした。


「梅は12年に一度、申年に大凶作になると言われています。外から見れば大凶作ですが、実は木が実を落とすことで、梅に豊富に含まれるクエン酸が土のミネラル循環に関わり、木自身が自らをリセットしているのではないか。」


長年、梅と真摯に向き合って来られたからこその目線だと、深く感動しました。

今年も農薬も化学肥料も使わず、見事な梅が実っていました。



「酸っぱすぎる梅エキス」の真相は……?


そして、私にはもう一つ気になっていたことがありました。

「あの酸っぱすぎる梅エキス、やっぱり失敗だったのでしょうか?」


すると大澤さんは笑顔で、

「酸っぱいということは、クエン酸などの有機酸がしっかり残っている証拠。むしろ良い梅エキスですよ。」

と教えてくださいました。


思わず、「やったー!」と叫んでしまいました。失敗ではなかったのです!



梅で世界を変える!畑から始まる未来の食


今回、改めて感じたのは、梅の可能性はまだまだ広がっているということ。

梅干しや梅酒だけではありません。

研究者だった皆さんが、今は梅を育て、地域の子どもたちに梅の魅力を伝えています。


『NPO法人みさと梅クラブ』のコンセプトは「梅で世界を変える!」。


「最近は、梅干しを食べないから、梅干しを見ても唾液が出ない子どもが多いんだよ」


そう話す大澤さんの笑顔が印象的でした。

昨年からは、親子で楽しむ「梅の種飛ばし大会」まで開催しているそうです。

なんとも研究者らしい、遊び心にあふれた取り組みですよね。


ビーカーを鍬に持ち替えた研究者たち。

その姿から、私は「食は畑から始まり、未来へつながっていく」というホールフードの原点を、改めて教えられました。


そして今年も、我が家の梅エキスは無事に完成。

どうやら酸っぱいのは、失敗ではなく、大当たりのヴィンテージだったようです。



※本記事は「note」より抜粋要約しています。



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✏️ 編集部より 〜 Whole Food Life からのご案内 〜

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食は畑から始まり、未来へつながっていく」。

今回の美里町の梅園での出会いのように、私たちは自然の力を丸ごといただく知恵を大切にしています。


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