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「料理をする人を増やす研究所」キックオフ

5 日前
読了時間: 7分

長年温めてきた「料理をする人を増やす研究所」がついにキックオフ!

醤油・味噌の生産者、パン屋、農家、調理器具メーカー、スーパーマーケット協会など、食に関わる多彩な仲間12名が集まりました。 歴史や社会の変化から「なぜ人は料理をしなくなったのか」を紐解き、義務や正しさではなく「料理って楽しくてカッコいい!」という憧れの空気を未来へ届ける、新たな挑戦の幕開けをお届けします。


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多彩な12人が集結!

「日本人はいつから料理をしなくなったのか?」


10月16日、「料理をする人を増やす研究所」が、いよいよ動き出しました。


集まったのは12人。


醤油や味噌の生産者、パン屋さん、農家、鉄鍋の営業担当者、スーパーマーケット協会の方など、実に多彩な顔ぶれです。


共通しているのは、みんな「食」に関わっていること。

でも、料理に対する考え方も、日々の暮らし方も、それぞれ違う。

だからこそ、おもしろい。


まずは私から、

「日本人は、いつから料理をしなくなったのか?」という話をしました。


時計の針を、1950年代まで巻き戻します。


当時、家庭の炊事は、主に女性の仕事でした。

かまどに火を起こし、羽釜でご飯を炊く。

水を汲み、野菜を洗い、火加減を見ながら料理をする。


毎日の炊事は、かなりの重労働だったはずです。


そこへ、電気炊飯器や冷蔵庫、洗濯機などの家電製品が登場します。

家事の負担は劇的に軽くなりました。

これは、素晴らしい進歩です。


ところが、便利になった先に、何が起こったのでしょうか?


私が最も尊敬する女性の一人に、食卓の変化を長年研究されてきた岩村暢子さんがいます。


著書『日本人には二種類いる』(新潮新書)では、

世代による価値観や暮らし方の違いが1960年に大きな『断層』がある事が書かれています。


すっごく面白い、いや勉強になるので、是非、読んでみてほしい一冊です。


以前、私は岩村さんに尋ねたことがあります。


「なぜ、日本人は料理をしなくなったのでしょう?」


そのとき教えていただいたキーワードが、

「ファン・モラリティ(Fun Morality)」でした。


人生を楽しむことに価値を置く、楽しい事を優先する考え方です。


かつての日本では、我慢、忍耐、勤勉、努力が美徳とされてきました。


ところが高度経済成長期になると、

暮らしに余裕が生まれ、余暇を楽しむという価値観が急速に広がっていきます。


国もレジャーの振興を後押ししました。

「もっと暮らしを楽しもう! 家族で出かけよう!」

そんな時代がやってきたのです。


もちろん、楽しむことは悪いことではありません。

むしろ、素敵なことです。



料理をしなくても困らない社会。

手ごわい課題と自由な対話


1960年代から70年代にかけて、外食産業が発展し、ファミリーレストランやファストフードが広がっていきます。

さらに、持ち帰り弁当、コンビニのおむすび、スーパーのお惣菜、冷凍食品。

誰かが作ったものを買って食べることが、どんどん身近になりました。


アンド今や、日本は世界に誇る美食の国。

外食、グルメ、食べ歩き、食レポ……。

食べることを楽しむ文化は、驚くほど豊かになりました。


でも、その一方で、自分で料理をすることは、どうなったのでしょう?


かつては、料理上手であることが結婚相手に求められる条件の一つでした。

今は、料理ができなくても、生きていけるし、全く困らない。

もちろん、結婚の条件にすらならないと思う。

それどころか、忙しい毎日、料理をしない方が合理的だと考える人もいるでしょう。


つまり、私たちは、料理をしなくても暮らせる社会をつくってきたのです。

料理をする人が減ったのは、単に人々が怠け者になったからではない。

料理をしなくても、おいしいものが食べられる。そんな便利な社会が実現したということでもあります。


だとしたら、料理をする人を増やすのは、なかなか手ごわい!


ここから、参加者とのフリートークが始まりました。

毎日、ものすごく料理をする独身男性。

子どもの頃、母親がつらそうに料理をしていた姿が記憶に残っている人。

料理をすることが楽しくて仕方ない人。

スーパーマーケットでは、惣菜と冷凍食品が1-2を占めているという話にも、みんな興味津々。

次々と話が飛び出し、あっという間に時間が過ぎていきました。



責めない、義務にしない。

「料理をすると人は幸せになる」という仮説


今回のミーティングでは、

「どうすれば料理をする人が増えるか」という具体策を決めるつもりはありませんでした。


まずは助走。

いえ、素振り練習のようなものです。


ただし、一つだけ、大切にしたいことがあります。

料理をする人に「○」、しない人に「×」をつけないこと。


料理をしない人を責めることからは、何も始まりません。


料理をしないからといって、自分の身体や家族の健康を大切にしていないわけでもありません。

料理をすることを義務にしたり、正しさを押しつけたりする研究所にはしたくないのです。


では、私たちは何を伝えたいのでしょう?

私は、こんな仮説を持っています。


「料理をすると、人は幸せになるのではないか?」


おいしいものを食べると、思わず笑顔になります♫

おいしい食材に出会うと、誰かと一緒に食べたくなります♫

旬の野菜を見つけて、今日は何を作ろうかと考えるだけで、楽しい♫


誰かの喜ぶ顔を思い浮かべながら、台所に立つ。

もちろん、自分のために作る一皿だっていい。

そんな小さな幸せを、自分の手で生み出せるのが料理ではないでしょうか。


料理は、単に空腹を満たすための作業ではありません。

食材を選び、組み合わせ、手を動かし、誰かと食卓を囲む。

そこには、買って食べるだけでは得られない喜びがあると、私は思っています。



「料理ってカッコいい!」

楽しさの文化を未来へ紡ぐスタート


ミーティングでは、こんな意見も出ました。

「スポーツの普及活動って、いい成功例じゃないのかな?」


なるほど!

かつては一部の人だけが楽しんでいたスポーツも、地道な普及活動によって、見る人、応援する人、実際にプレーする人の輪が広がってきました。

ワールドカップに熱狂し、選手に憧れ、自分もやってみたいと思う。


スポーツって、おもしろい!

スポーツって、かっこいい!

そんな憧れや楽しさが、人を動かしてきたのです。


だったら、料理だって同じでは?


料理って、おもしろい!

料理する人って、かっこいい!

自分で作るって、なんだか幸せ!


そんな空気を、私たちがつくっていけばいいのではないか。

そうか、これだ!


料理をしなさい、と説得するのではなく、料理をしたくなる社会をつくる。

料理をすることが、特別な努力でも、面倒な義務でもなく、人生を楽しむ一つの方法になる。

かつて、楽しむことが暮らしの価値観を変えたのなら、今度はその「楽しさ」を料理に取り戻したい。

料理をしなくても生きていける時代だからこそ、料理をする喜びを伝えたいのです。



研究所の活動は、まだ始まったばかり。

答えはありません。

でも、違う仕事、違う経験、違う価値観を持った仲間たちと、同じ問いを持つことができました。



次回の定期ミーティングは、2027年1月を予定しています。


参加資格は、一応、40歳未満。

これからの食文化をつくっていく世代に、ぜひ加わってほしいと思っています。



「料理をする人を増やす研究所」。


さて、どんなことが始まるのでしょう。


※本記事は「note」より要約抜粋しています。



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