料理をする人を増やす研究所の先
- 5 日前
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2026年10月16日のキックオフに向けて始動した『料理をする人を増やす研究所』。 職人醤油・高橋万太郎氏とともに「和食文化や暮らしの道具を守る」という強い危機感からスタートしたこの取り組みの裏で、タカコナカムラは今、ひとつの本質的な問いと向き合っています。 「なぜ日本人は料理をしなくなったのか?」「私たちが本当に増やしたいのは、本当に『料理をする人』なのだろうか?」
単なるノスタルジーや健康法にとどまらない、料理の未来と本質を探る思考の旅をお届けします。
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昭和から令和へ。「できた方がいい家事」の消滅と進化
『料理をする人を増やす研究所』を、職人醤油の高橋万太郎さんと立ち上げた。
10月16日のキックオフに向けて、私は今、ひとつの問いを考え始めている。
なぜ、日本人は料理をしなくなったのか?
そして、もうひとつ。
料理をしなくなったことは、本当に「悪いこと」なのだろうか?
かつては、理想の女性像、ほぼ死語になってしまった「嫁にしたい女性の条件」として、
「料理の上手な人」が上位を占めていた。
だから、花嫁学校で料理を習っていた。
「炊事、洗濯」という言葉があったように、洗濯や裁縫、編み物なんかができたら、
ポイントが高い時代は確かにあった。
歌謡曲にも、
「もしも私が家を建てたなら、レースを編むのよ」
「着てはもらえぬセーターを寒さ堪えて編んでます」
なんて歌詞が流行っていた。
それは、昭和の話。
今は、料理が上手なことは、さほどポイントにならない。
料理は下手でも、美人、スタイルがいい、スポーツができる、外国語が堪能……
そんなことのほうがポイントが高いのではないか。
そこで、私は自分のことを振り返ってみた。
中学の家庭科では、パジャマや浴衣を縫わされていた。
割烹料理店だった実家では、年末になると襖や障子の張り替えを手伝わされた。
布団の綿の打ち直し、着物の洗い張り。
母から教えられたことは、ほぼ全部、今となっては「無用の長物」だ。
うちの母は、「漬物を買う女は恥を知れ!」と吠えていた。
顔負けの怒りっぷりだった(笑)。
でも、今、漬物を自分で漬ける人なんて、どれだけいる?
買ったほうが安くて、美味しい。
食品ロスも少ない。
「だから、買ったほうがいいじゃない」と思ってしまう。
竈はガスに変わり、羽釜は炊飯器に。
薪で炊いていた五右衛門風呂は、ユニットバスになった。
道具がなかった時代だから、仕方なく、手間暇をかけ、知恵をかけてやっていたことが、どんどん消えていった。
消えたものを、復活させようとする人はいる。
増えても、消滅するモノやコトには、理由がある。
それに代わる便利なモノが生まれた途端、消えていく。
それが進化というものなのかもしれない。
もちろん、どの時代にも、消えゆくモノを偲び、集めたりするコレクターはいる。
その文化は、決して大きくはならない。
一定の人たちの中で、ひっそりと生き続ける。
なぜ「料理」だけが瀕死の状態で残っているのか?
では、料理は?
消滅した道具やしきたり、生活技術の中で、
唯一、完全には消えていないものが「料理」なのではないか。
かろうじて、瀕死の状態でも残っている。
なぜ、料理だけは残っているのだろう?
料理をする人が増えないと、味噌も醤油も消費されない。
器も包丁も、すり鉢も一緒に消えてしまう。
私は、和食の文化を残さなければ、と強い危機感に苛まれた。
それが、『料理をする人を増やす研究所』を立ち上げる動機だった。
ところが、最近、少し考えが変わってきた。
「なぜ、料理をしなくなったのか?」
その原点に立ち戻って考えない限り、
「料理をする人を増やそう」と声を上げること自体、無駄な悪あがきなのではないか。
タカコナカムラと万太郎さんが、逆立ちしてロビー活動をしたところで、
料理をする人は増えないだろう。
なぜなら、「料理をする」価値や理由そのものが、完全に変わってしまったからだ。
「正解探し」の健康法を超えて。スクール生が料理を楽しむ理由
健康のために料理をする人は、
有機農産物の宅配サービスやクイックミールのヘビーユーザーも少なくない。
その種のデリや弁当だって、いくらでもある。
それでいいのかもしれない。
一方で、タカコナカムラWhole Foodスクールの卒業生たちは、
確実に料理を好きになり、今でも料理をそれなりに作り、楽しんでいる人が多い。
なぜなのか?
ここにも、考えるヒントがある気がする。
世の中には、「これを食べないと病気になりますよ」的なオンライン講座も多々ある。
次から次へと新しい健康法が出ては消えていく。
よくよく考えてみると、辻褄さえ合わないセオリーも少なくない。
それでも、人は「正しい答え」を探し続ける。
料理をすることは、単に「健康のための手段」なのだろうか。
10月16日キックオフへ。「本当に増やしたいもの」を探す旅
料理を残すことが、目的なのだろうか。
そもそも、これから料理は、今の「料理」と同じ形で残るのだろうか?
日本人は、なぜ料理をしなくなったのか?
料理をしている人は、なぜ今も料理をしているのか?
まずは、そこを考えてみたい。
アンド、その先に、もうひとつの問いがある。
これから料理が、今とはまったく違うものに変わっていくとしたら、
それでも私は「料理をする人を増やしたい」と言えるのだろうか。
いや。
そもそも、私が本当に増やしたいのは「料理をする人」なのだろうか?
まだ、私自身にも答えはない。
10月16日のキックオフまでに、考えてみたいと思う。
料理をする人を増やしたいのか?
料理を通して、何を残したいのか。
その答えを探すところから、『料理をする人を増やす研究所』を始めたいと思う。
※本記事は「note」より要約抜粋しています。
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