鍋屋再燃、ぐつぐつ物語その2
- タカコ ナカムラ
- 6月18日
- 読了時間: 3分
更新日:2 時間前
鍋屋になったタカコ。1人じゃちょい不安になり、大先輩、友人のエッセイスト松山猛御大の奥様、ユキコさんなら声かけてみた。
ユキコさんは、台湾人で、その頃、子供たちだも仲良くして、私のことを『タカちゃん』と呼んで、可愛がってくださっていた。
事務所はユキコさんちで、電話も引く。
会社の名前は、確か『ケラモス』だったような記憶。名前の由来は、ギリシャ神話の神様の1人、陶器の発明者。「土器」を意味する。
深くは考えてなかったなぁ。
ある日、テキサス州の鍋屋に発注したステンレス多層鍋がどひゃーと届いた。
狭いマンションは足の踏み場もない。
これをどうやって売るのか、鍋代の支払いなどなど、全く考えてもなく、
届いたピカピカの鍋を眺めるだけで幸せな気分。
段ボールを開けて鍋を取り出す。
いろんな料理を作りまくる。無水調理、抜群👍コレだ、ステンレス多層鍋ってのは、とかの鍋を売り、御殿を建てようぞと、レシピ作りの日々。
使い始めてしばらくすると、取っ手のネジが何かと緩みやすいことに気づく。
キッチンに常に🪛ドライバーを置いてないと使えなくなった。
その頃も、英語力は今ひとつのタカコ、サンフランシスコの友人を介して、鍋のメーカーにクレームをしてみた。
そしたら、こんなにぐらついているのに、これまでそんなクレームも来たことがないという。
ゆるんだら、ドライバーで絞めたらいいのではないか?以上!
全く対応してくれなかってのですよ。
日本人のお姉さん、何言ってんの?って感じ。
そこで分かったこと、日本製品、日本人はとても細かいし丁寧だということ。
アメリカ人はこれしきのことなんて、
そんなの関係ない🎵なのだ。
タカコ愕然。
この鍋を売ったら、きっと毎日、クレームの電話がかかるだろう。
ドライバー付けておこうか、いや、返品されるかもしれん。
頭にはネガティブなことばかりが浮かぶ。
ユキコさんにも相談してみた、
『向こうの言うことわかるわかる。
日本人って、几帳面だし、絶対コレ、返品されるよ」
タカコ念願の鍋屋になり、無水調理にるんるんだったのに、なんと、1回の入荷にて、鍋屋閉店ガラガラ。
部屋を埋め尽くした鍋はユキコさんにあげたり、お世話になった友人に頭下げてプレゼント。
だからさ、マーケティングも考えないで、
輸入するからこんなことになったんだよ、バカちんがぁ。
持ち手のぐらぐら以外は実によく出来た鍋だったので、それからもステンレス多層鍋見つけては、使い、あーでもないこーでもないと自己分析の日々。
なんですぐに海外から商品取り寄せるんだろ?
その後もタカコさんは、アメリカから甘酒やキヌアなどの珍品を見つけては輸入、ほぼ鍋が甘酒に代わり、歯磨き粉になり、、、気づいたら
大貧乏。
20代の姉さんが、よくそんな輸入業できまんな?でしょ?
タカコ大学は貿易実務のゼミ。
卒業後、商社に勤務。日本のタイヤを中近東に輸出する貿易業務をやっていたのです。
invoiceやshippingに慣れていたのでした。
それが仇となったのだ。
その後も懲りず、アルバイトを何種類も掛け持ち、働きまくり小金を貯めてはアメリカへ飛ぶ。
『こんな日本になんて住むもんか』
カリフォルニアの青い空を求め、カードも持てないタカコはバックパッカーで全米を駆け回っていたのでした。
つづく