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鍋屋再燃、ぐつぐつ物語その2

更新日:2 時間前

鍋屋になったタカコ。1人じゃちょい不安になり、大先輩、友人のエッセイスト松山猛御大の奥様、ユキコさんなら声かけてみた。

ユキコさんは、台湾人で、その頃、子供たちだも仲良くして、私のことを『タカちゃん』と呼んで、可愛がってくださっていた。

事務所はユキコさんちで、電話も引く。

会社の名前は、確か『ケラモス』だったような記憶。名前の由来は、ギリシャ神話の神様の1人、陶器の発明者。「土器」を意味する。

深くは考えてなかったなぁ。


ある日、テキサス州の鍋屋に発注したステンレス多層鍋がどひゃーと届いた。

狭いマンションは足の踏み場もない。

これをどうやって売るのか、鍋代の支払いなどなど、全く考えてもなく、

届いたピカピカの鍋を眺めるだけで幸せな気分。


段ボールを開けて鍋を取り出す。

いろんな料理を作りまくる。無水調理、抜群👍コレだ、ステンレス多層鍋ってのは、とかの鍋を売り、御殿を建てようぞと、レシピ作りの日々。


使い始めてしばらくすると、取っ手のネジが何かと緩みやすいことに気づく。

キッチンに常に🪛ドライバーを置いてないと使えなくなった。

その頃も、英語力は今ひとつのタカコ、サンフランシスコの友人を介して、鍋のメーカーにクレームをしてみた。


そしたら、こんなにぐらついているのに、これまでそんなクレームも来たことがないという。

ゆるんだら、ドライバーで絞めたらいいのではないか?以上!

全く対応してくれなかってのですよ。

日本人のお姉さん、何言ってんの?って感じ。


そこで分かったこと、日本製品、日本人はとても細かいし丁寧だということ。

アメリカ人はこれしきのことなんて、

そんなの関係ない🎵なのだ。

タカコ愕然。

この鍋を売ったら、きっと毎日、クレームの電話がかかるだろう。

ドライバー付けておこうか、いや、返品されるかもしれん。

頭にはネガティブなことばかりが浮かぶ。


ユキコさんにも相談してみた、

『向こうの言うことわかるわかる。

日本人って、几帳面だし、絶対コレ、返品されるよ」


タカコ念願の鍋屋になり、無水調理にるんるんだったのに、なんと、1回の入荷にて、鍋屋閉店ガラガラ。

部屋を埋め尽くした鍋はユキコさんにあげたり、お世話になった友人に頭下げてプレゼント。


だからさ、マーケティングも考えないで、

輸入するからこんなことになったんだよ、バカちんがぁ。

持ち手のぐらぐら以外は実によく出来た鍋だったので、それからもステンレス多層鍋見つけては、使い、あーでもないこーでもないと自己分析の日々。


なんですぐに海外から商品取り寄せるんだろ?

その後もタカコさんは、アメリカから甘酒やキヌアなどの珍品を見つけては輸入、ほぼ鍋が甘酒に代わり、歯磨き粉になり、、、気づいたら

大貧乏。

20代の姉さんが、よくそんな輸入業できまんな?でしょ?

タカコ大学は貿易実務のゼミ。

卒業後、商社に勤務。日本のタイヤを中近東に輸出する貿易業務をやっていたのです。

invoiceやshippingに慣れていたのでした。

それが仇となったのだ。


その後も懲りず、アルバイトを何種類も掛け持ち、働きまくり小金を貯めてはアメリカへ飛ぶ。

『こんな日本になんて住むもんか』

カリフォルニアの青い空を求め、カードも持てないタカコはバックパッカーで全米を駆け回っていたのでした。


つづく



 
 
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