毎年、初夏に生ぬかから起こすぬか床講座を開催してきました。毎年、受講生は減ります。「ぬか床」は大ブームで、特に無印良品のぬか床は、欠品になるほどという。みんなは「ぬか床」は、ビニール袋に粘土のように入っているアレが「ぬか床」の原材料であると思っている。買って来たら、その日から野菜を入れたらぬか漬けができるスーパー便利な発酵食品製造グッズ。 中には、水入れて混ぜるだけで「ぬか床」ができるクイックタイプも世の中にはある。 いつもの癖で、その手のぬか床の原材料シールをチェック。 自分で作ると ぬか、塩のみ。 それが、もう、000エキスとか、調味料(アミノ酸)とかも入っているものもある・・・・いいのだろうか・・・・・
私は、何事も、手作りを勧めています。味噌、梅干し、塩麹、ぬか床とて 1度は作ってみようよ、と言い続けてきました。 それは、決して「安上がり」だからではなく、 何を使って、どういう風にできるのかを知るべきだと思うからです。 知ってどうなるの? 偽物を見抜くことができます。本来の材料を知らないと嘘を見抜くことができません。 その先は、材料の中でも、何が重要なのか?これだけは、いいものを使うべきだわ・・・これは、どっちでもいいわ・・・・・という材料の目利きができるようになります。 これって、本を読むより、ネットを検索するより、確実に身につきます。
「ぬか床」は、米を精米する際に出る副産物のぬかが主原料。 あとは、塩、旨味を足す目的で、昆布。天然の防腐剤として唐辛子。香りを出すために、この時期の実山椒を入れる。 誠に理にかなっている。 発酵食ブームで、冬でも「ぬか床講座ありますか〜〜?」というとぼけた 問い合わせも毎年あります。 何で冬にぬか床起こすわけ〜〜?! つまり、実山椒が出回る時期に、ぬか床を起こすのがベストシーズンってことです。 でも、日本人は、いつからか、四季を楽しまない国民になってしまった。 年中あるものを便利として、安くて、便利なものを好むようになったのです。バチが当たるぞ。四季があることがどれほど、健康や美容に良いか いや、感性を研ぎ澄ます要因であるかを知ろうじゃないかっ。
昔は、嫁に行く時に、母親が「ぬか床」を持たせたという。 今なら、そんなもの、いらんわ!金よこせ。でしょうかね〜〜。
過日、ある生徒が来校し、 「先生、私のぬか漬け、まずいんです。家族もまずいって食べてくれない。臭いし、酸っぱいし・・・・」と嘆く。 ひと通りのメンテ方法を伝えたところ、まずい原因がわからないとぼやく。 私は、マイぬかをひと握りビニール袋に入れて渡してみた。 「これ、混ぜてみて」とだけ。 後日、その生徒が笑顔で来校。 「先生〜〜すごい〜〜〜、先生のぬか床入れたら。私のぬか床蘇りました」
ほらね、これ事実です。 私の大好きな郷土歴史家小泉和子先生がぬか床についてこんな風に話しておられた。 「ぬか床ってすごい。魚をぬか床に突っ込んだら、分解されて消えた。 すごいよね」と。 凄すぎるじゃないですか、たかがぬか床が、魚を1尾を分解して消してしまう力があるとは・・・・
昔の人は、薬もないから、お腹が下った時には、ぬか床の上に出る ぬか汁を吸ったそうだ。 ぬか床、恐るべし。
そんなウルトラスーパーフードは、やっぱ、出来合いのものを 買うのでは、ダメよ。 ぬかから起こそう。 そうやって、起こしたぬか床に棲みつく微生物は、特に、乳酸菌は、完全にその家の人たちにカスタマイズされます。 その家主にぴったりの乳酸菌が増えていくのです。
乳酸菌なら、なんでも言い訳ではない。その人に合う乳酸菌でないと意味がないそうだ。それを見つけるには、各社のヨーグルトを食べまくって、ようやく見つかるらしい・・・・ そんな無駄をしなくても、マイぬか床さえあれば・・・・・ねえ〜〜?
私は、糠床を使って「ぬか炊き」という福岡県小倉の郷土料理を作るのが得意。発酵の知恵が詰まった銘品ですぞ。 最後に、母の名言 「漬物を買う女は恥を知れ」 なんという差別発言。 でも、わかる、わかる。漬物は買うもんじゃないのです。
Comments